アドベントカレンダー
12月にといえばクリスマス。
仏教徒が大半の日本には本来関係ないはずのイベントだが、この季節になれば街はクリスマスムード一色だ。
リビングにツリーを飾って、玄関にリースを飾るのが子供の頃の私の仕事だった。
クリスマスの日は母が骨付きの鳥もも肉を焼いてくれて、母と2人で作ったケーキを食べて眠る。
朝起きたら勉強机の上にサンタクロースからの贈り物が置かれている。
ワクワクしながら贈り物を開けて両親に報告するのだ。
本場のクリスマスとは違う日本風のクリスマスだ。
ある程度歳を重ねてから、12月25日ってキリストの誕生日なんだな…と、知ったと思うが、そもそもこの認識も間違いだという。
キリストの降誕を祝う日として12月25日が設定されているだけで、キリストが生まれた日の明言はされていないのだ。
一説によると今の暦で9月〜10月かも?なんて話もあり、誕生日というわけではないらしい。
私は仏教系の保育園に通っていたため、春の季節は毎年花祭りでお釈迦様の誕生日を祝っていた。
と言っても、よくわからないままお釈迦様に甘茶をかけて、自分も甘茶をいただく会…というような認識だ。
卒園して以降お釈迦様の誕生日をお祝いする機会もなくウン十年と過ぎ去ったが、毎年キリストの降誕は祝うのだから日本人の宗教観って不思議だ。
クリスマスイベントのひとつの楽しみとして、ここ数年日本で人気になっているのがアドベントカレンダーだ。
12/1からキリストの降誕の日まで毎日カウントダウンしていくためのものだ。
25個ある窓にはそれぞれお菓子などの小さなプレゼントが入っていて、毎日一つずつそれを開いて楽しむというクリスマスムードを高めていく。
何が入っているのかわからない窓を1日ずつわくわくしながら開いていく。なんて素敵なんだろう。初めてアドベントカレンダーを知った時にそう思った。
KALDIなどで以前から売っていて、開けるとチョコなどが入っているのがメジャーなのではないだろうか。2年くらい前に先輩が子供にLEGOのアドベントカレンダーを買ってあげたと話していたこともあった。
最近ではバリエーションが増えて決して子供向けではないものも増えた。代表的なものがコスメだ。
CHANEL、DIOR、YSL、JO MALONE、MACなどのデパコスブランドがこぞって日本でアドベントカレンダーの販売を開始した。
同時にYouTubeで「デパコスのアドベントカレンダー買ってみた!」的な動画がアップされた。
アドベント期間に一つずつ開ける楽しみはどこへ行ったのか。
昨年は10万ほどしたCHANELのアドベントカレンダーの中身が期待外れだったと炎上したりもしていた。
チョコやクッキーというかわいらしい話から急に大人の欲に塗れた話に変わってしまったのが悲しい。
新春の福袋のようなものだろうが、10万のブランドコスメって…とモヤモヤせずにはいられない。
ちなみにこのアドベントカレンダー、発祥はドイツなのだそう。
この時期のドイツといえばシュトーレンも有名だ。ちょっと小洒落たパン屋さんに行けば見つかるし、コストコでも取り扱いがある。
ドライフルーツがふんだんに入ったバター生地を焼き上げて表面に粉砂糖をまぶしたパンみたいなものと認識している。認識している、というのは私自身食べたことがないからだ。
そもそもそんなにドライフルーツが好きでもないのだが、なんとなく美味しそうに感じてしまう雰囲気に実際食べてガッカリしないようにしているのだ。
というのは建前で、値段が高いので食べるに至らないのだった。
昨日見たシュトーレンも手のひらサイズで3000円とかだった。ずっしりしていて具沢山そうだったけど、チャレンジするには高い。
このシュトーレンの食べ方も、アドベント期間に少しずつ切り分けて食べて、味の変化を楽しむものと言われている。
これまたなんて素敵な文化なんだろうと思っていたのだが、意外とドイツ人はその文化を知らないようだ。
本場のドイツでは少しずつ切り分けて〜なんて言っているのは日本だけで、本場のドイツ人はそんなことは気にせず好きな量切って食べるし、足らなくなったら追加して買うらしい。
きっと昔はドイツでも毎日少しずつ大切に食べたんだろう。
でも時代が変わり、モノに溢れた時代になり、好きなだけ食べることが普通の世の中になったからシュトーレンの食べ方も変わっていった。
アドベントカレンダーもシュトーレンも、昔は特別なものだったから毎日少しずつ楽しむことができて、逆にその幸せは今の私たちにはわからないものなのかもしれない。